アメリカ市場におけるキッコーマンの戦略

千葉県の最北に位置する野田市。この土地になぜか東京理科大が存在していた理由はわからなかったが、この地には昔から醤油作りが盛んだった理由は明白である。市の西側に江戸川、東側を利根川に囲まれ、大豆や小麦の生産地であり、水運が発達していた。醤油の5大産地といえば、千葉の野田、銚子、兵庫のたつの、香川の小豆島、金沢の大野であり、いずれも水運、海運が盛んだった。醤油の原材料、大豆、塩が手に入りやすく、出来上がった醤油の運搬も便利な土地だ。

 

 

この野田市にキッコーマンが醤油作りを始めたのは、今から1917年、大正時代である。この土地を訪れたことがあるが、キッコーマンの城下町である。東武野田線の前身である千葉県営鉄道はもともと船橋と大宮に間に位置するキッコーマンの醤油の運搬のために敷設された。また、町の中にはキッコーマンの名前が付いた病院まである。

 

そんなキッコーマンをアメリカではよく見かける。

 

f:id:misugaru:20200518035349j:plain

照り焼きソースも充実しています。

https://kikkomanusa.com/homecooks/products/ より引用

f:id:misugaru:20200524003731p:plain

f:id:misugaru:20200524003726p:plain

 

醤油だけでなく、パン粉も充実。キッコーマンがすごいのは、その現地の人に好まれるラインナップと現地に根付いた販売網である。日系スーパーでなくても米国系のスーパーWalmartでもKrogerでもどこでもあるし、ガソリンスタンドにだってあることがある。

 

北米の売上を調べてみるとキッコーマンの売上の約4500億のうち、約2000憶まで占めている。約44%と高い。シェアも調べてみると世界で50%、アメリカでは約55%もある。アメリカ人にキッコーというと醤油のことを指す。私の周りの米人5人くらいに話かけれてみたが、同じ意見であった。ペプシ=コーラ、ダイソン=サイクロン掃除機みたいに企業=商品名なのだ。しつは隠れたグローバル企業なのである。

f:id:misugaru:20200524003239p:plain

2018年度キッコーマンの売上(有価証券報告書より)

キッコーマンのアメリカ国内における醤油はNHKで昔大人気だった「大草原の小さな家」の一部のモデルになったウィスコンシン州で製造している。有価証券報告書によると1917年に設立され192人もの従業員が働いている。この関連で千葉とウィスコンシン州は友好条約を結んでいる。

 

日本食は今や米国ではもはや一般食である。寿司は大きなスーパーならどこでも売っているし、照り焼き全米に116店舗展開するチェーン店も存在している。teriyakimadness.com

 

私は以前野田市の近くの北関東に住んでいた。キッコーマンの活躍は、親近感を覚えるとともに、日本人として醤油がすぐに手に入る環境は本当に助かる。これもキッコーマンが米国に進出してくれたおかげである。本当に感謝申し上げたい。