5分で分かる基軸通貨とは。そのメリット、デメリットについても説明。

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お金の勉強したり、普段ニュースを見たり、新聞を見ている人なら目にする基軸通貨という文字。なんとなくわかっているようでもよくわかっていない人や何となく程度にしか分かっていない人もいると思うので、改めて基軸通貨について調べてみました。

以下今日の目次です。

 ①基軸通貨とは

基軸通貨とは

wikipediaより引用

国際為替市場で中心に扱われる通貨のこと基軸通貨(きじくつうか)言う。https://ja.wikipedia.org/wiki/国際通貨   

現代は世界中でモノや情報が取引される時代です。その決済方法は為替(郵便為替、銀行振り込み、為替手形等の総称)により実行されますが、その為替で中心に扱われるのが基軸通貨ということになります。現在はご存知の通りアメリカの$が基軸通貨です。

もう少し分かりやすく身近な話として例えてみます。

日本からコロンビアのへ旅行するとします。コロンビアの現地通貨はコロンビア ペソですが、カードだけでは不安なので少し現金持っていきたい時、日本でコロンビア ペソを両替できる場所を探すと思います。ではコロンビア ペソを日本円と両替してくれる場所ってどこでしょうか?おそらく日本でコロンビアペソと日本円を両替してくれるところって少ないと思います。そこで米ドルを用意しておけば、現地で米ドルからコロンビア ペソに両替できるということになります。

 
国際通貨と基軸通貨の違いってなんだろうか。

似たような言葉で国際通貨という言葉がありますがこれは、国際的に信用力があり、流通している通貨全般を指します。具体的には、US$や欧州ユーロ、日本円です。

その中と基軸となる通貨がUS$となります。

疑問なんで基軸通貨って必要なのだろうか。

なんで基軸通貨って必要なのか?

下の図をイメージして下さい。もし基軸通貨がないと左の写真のようにそれぞれの国で為替の市場を持つ必要があります。そこで基軸通貨を持つことで世界の市場の流動性を高めています。 

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同じような考え方を行っているのが空路です。

ハブ空港ってご存知でしょうか。有名なところでは韓国の仁川空港です。日本からアジアの各地に行く場合、仁川へ行ってから乗り換えします。利用者には乗り換えが発生するので少し利用しづらいこともありますが、すべて各地を定期便で結ぶことはできないので、このようなハブ空港を設けたほうが全体最適となることがある。 

 ②基軸通貨の歴史

 ・18世紀ばから20世紀まで 第一次世界大戦 イギリスのポンド

  18世紀半ば1760年からイギリスで大きな歴史の転換点を迎えます。それは産業革命です。産業革命により生産性が高まり、製品が自国で消費されるだけでなく他国へ輸出されることになります。そうするとモノとお金の流動性を高めることが求められます。そこでイギリスのポンドを基軸通貨として、各国の為替手段として使用するこになりました。

 

 ・20世紀~        第2次世界大戦後 アメリカの$  

  1914年オーストリアの皇太子がサラエボで暗殺されてから始まった第1次世界大戦で、人類は初めて総力戦という国民を巻き込んだ大きな戦争を経験します。欧州の各国は主な戦場となったことから、イギリスは疲弊しました。その後、第2次世界大戦を経て、1944年ブレトンウッズ体制で当時の経済力、軍事力、安定した物価の状況を背景として基軸通貨は$に移りました。

 ③基軸通貨のメリットデメリット比較

 メリット

 ・自国の需要以上に通貨を発行できる。 

  基軸通貨は単純に自国通貨を際限なく発行できるのがメリットではありません。日本でも同じように自国通貨を発行することができますが、日本でこれをやって日本の需要以上にお金を供給するとインフレが発生します。アメリカの$は世界の為替の手段として需要がありますから、自国の需要以上に通貨を発行できるというメリットがあります。

 

 ・経済的に政治的に世界をコントロールできる外交カードを持てる。

21世紀に入ってアメリカは北朝鮮やイランに経済制裁を加えたり、$資産の凍結を行っていますが、これらは$が基軸通貨であるからコントロールできます。

 

 ・国際取引はドル建てとなるので為替リスクがない。

日本の場合、海外で売り上げしたドル建ての製品について、企業は為替相場を気にしています。円高や円安によって企業の利益が変わるので当然ですよね。

 デメリット

 ・アメリカはドル高になる傾向にあり、輸出に不利な傾向となる

他国は$を外貨準備高として保有していくので、$は買われる傾向が強く、ドル高になりやすい。

 

 ・基軸通貨としての責任

2009年はアメリカのサブプライムローンを発端とした経済不安は世界に波及しました。アメリカの経済は世界の経済といっても過言ではないくらいの影響があります。そのためにアメリカは経済的に、軍事的に自国を安定させる責任があります。

 

 ④まとめと考察

1979年ニクソンショック

1985年プラザ合意  とドルに対する為替レートの切り下げを経験しました。アメリカの要求を各国が協調したのは、ドルが基軸通貨であることも要因の1つです。このように対外的な経済をコントロールできるのは、基軸通貨のメリットです。

 

実は$の基軸通貨という制度は矛盾を抱えています。流動性のジレンマとも呼ばれるもので、基軸通貨の供給とアメリカの信用の維持は成り立たないというものです。

補足すると、上記の$のデメリットでも書きましたが、アメリカ経済と世界経済は一蓮托生です。アメリカは現在貿易赤字を出しながら、他国は黒字を確保していますが、アメリカが貿易赤字をいつまで耐えられるのか分かりません。逆にアメリカが貿易黒字を出し続けると、他国は赤字となり、世界全体で通貨の流動性が悪くなります。

将来アメリカの財政が破綻しそうになった場合、プラザ合意のような要求や基軸通貨の交代等歴史的な出来事が起きるかもしれません。