コネクティッドシティプロジェクトに見るトヨタの危機感
2020年1月6日米国ネバダ州ラスベガスで開かているCES(コンシューマーエレクトロにクスショー)でトヨタがコネクティッドシティ計画を発表した。要約すると
トヨタの 東富士工場(静岡県裾野市)の跡地を利用して、あらゆるモノとサービスと情報を結びつける実証都市「コネクティッドシティ」2021年から建設を開始し、2000人規模の町を作る
という。
例として、スマートホーム技術や電気自動車、自動運転技術 下のようなe-Palette Conceptに基づく自動運転技術 の実証を行うようです。
この発表の背景としては、今から遡ること約3年、2016年10月にベンツで有名な独ダイムラーの当時社長が
CASEという言葉を使いました。CASEとは次世代の車の技術として、
C=Connected (接続性 Iot=モノと情報がつながる状態)
A=Automatic(自動運転技術)
S=Shared service(シェアサービス)
E=Elecric(電気自動車) が掲げらました。
今回のプロジェクトは上記のCASEを意識したプロジェクトのようです。2018年5月に豊田社長は決算発表の場でトヨタは車を売る会社ではなく、モビリティ(移動、流動)カンパニーになると宣言しています。トヨタが提供している顧客への価値は「車をうること」ではなく、「移動」を提供する会社だと認識しているようです。
特にトヨタはConnected やAutomatic といったIT技術とモノの掛け合わせにより、市場参入のプレイヤーの交代を特に恐れているように思います。例としては、エンターテイメントという分野は過去、テレビやラジオや雑誌という業界と考えられていましたが、現在はインターネットの参入により企業の収益構造が変わってしまいました。最近でいえば、カーナビやデジカメといった技術もアップルのスマートの一つの機能に代替され、アップルの利益に取り込まれてしまいました。企業の栄枯盛衰を見てきた自動車企業が危機感を覚えるのも納得です。
特に自動車の就労人口は約546万人と言われており、就労人口の約6664万人であり、8.2%を占めるといわれており、日本のモノづくりの最後の大きな砦となっております。
また注目すべきは、この動きは自動車だけの動きではなく、ほか乗り物や機械(例えば、重機、農機、船、飛行機)への転用も考えられます。日本のモノづくりのスタンダードは自動車メーカーです。トヨタ生産方式に代表されるムダを排除した生産システムや販社網(販社やサービスの提供)等が車メーカーが作ったビジネスモデルは他業種でも参考にされています。特に重機や農機は単価が高いものなので、Shared service(シェアサービス)という考え方が普及してくる可能性が高いと思います。